■ その2・定期点検と記録簿 ■

(1).事前予約と必要書類  /  (2).定期点検と記録簿  /  (3).出発前の最終確認

(4).受付
 / (5).検査ライン / (6).費用  / (7).Q&A /


自分で定期点検を行ったり、記録簿に記入する際の注意点


以下は、私が実際にユーザー車検を受けるにあたり、文献で内容を確認できたものです。
このページが多少でも皆さんのお役に立てば幸いです。

【その1】 点検整備について

■ 日常点検基準
■ 定期点検項目
 
車両の点検には大きく分けて2つあり、
一つは運行前に行う 「日常点検」 、もう一つは一定期間ごとに行う 「定期点検」 です。

ユーザー車検を受けようと考える人にとっては、特に難しい内容ではないハズです。
というよりも、本来はすべてのドライバーが自主的に実施していなければなりません。

自家用乗用自動車等の日常点検基準

No.

点 検 個 所

点 検 内 容
ブレーキ ●ブレーキペダルの踏みしろが適当で、ブレーキのききが充分か。
●ブレーキの液量が適当であるか。
●パーキングブレーキの引きしろ(踏みしろ)が適当であるか。
タイヤ ●タイヤの空気圧が適当であるか。
●亀裂および損傷がないか。
●異常な摩耗がないか。
●溝の深さが十分であるか。
バッテリ ●液量が適当であるか。
原動機 ●冷却水の量が適当であるか。
●エンジンオイルの量が適当であるか。
●原動機のかかり具合が不良でなく、かつ、異音がないか。
●低速および加速の状態が適当であるか。
灯火装置及び方向指示器 ●点灯または点滅具合の不良や、汚れおよび損傷がないか。
ウィンド・ウォッシャ
及びワイパー
●ウィンド・ウォッシャの液量が適当で、噴射状態が不良でないか。
運行において異常が
認められた個所
●該当個所に異常がないか。

 

【その2】 定期点検項目について

定期点検項目については、自家用自動車の場合、次の点検箇所が定められています。
 
●制動装置 ●走行装置 ●緩衝装置 ●動力伝達装置 ●電気装置 ●原動機 ●計器
●ばい煙、悪臭のあるガス、有害なガス等の発散防止装置 ●灯火装置 及び方向指示器
●警音器、窓拭器、洗浄液噴射装置、デフロスタ及び施錠装置
●エグゾースト・パイプ及びマフラ ●かじ取り装置 ●車枠及び車体
 
これらの個所には、さらにまた具体的な点検項目が定められています。
お車には「整備ノート」とか「メンテナンス記録簿」などといった名称で、
これらの定期点検項目を具体的に記載した冊子が付属しているはずです。
グローブBOXの中の車検証入れをチェックしてみましょう。

 付属していない(=中古車などの)場合は、冊子自体をディーラーで入手したり、
あるいは大型書店や車検場近くの整備振興会などで点検用紙を購入できると思います。
それでは次に、具体的な点検項目と定期点検記録簿について見てみましょう。

各種記号の記入例
該当なし 調整 交換 × 締付 清掃
良好(異常なし) 修理 分解 給油 省略
注:「*」印の付いた項目は、走行距離によって省略できます。
 
エンジンルーム点検
  パワステベルトの緩み、損傷 
車の整備記録簿等の点検方法に従ってください
  ファンベルトの緩み、損傷 
ファンを手で揺すって、ウォーターポンプのガタがないかも点検しましょう。
  パワステオイルのもれ、量
オイル漏れは、洗車前に点検。オイルが減ってくると冷間時にエアーを吸い込む異音がします。
  冷却水のもれ
目視点検をします。冷却水は甘い味がするが、体に良くないので飲み込まないように。

*

パワステの取り付けの緩み
各取付けけボルトを締め付けます
  メターリングバルブの状態
  スパークプラグの状態
10万キロ無交換プラグを使用している車は、エンジンの調子が良ければはずず必要はありません。
  ブローバイガス還元装置の配管の損傷
  点火時期   燃料蒸発ガス排出抑止装置の
配管等の損傷
  ディストリビュータ・キャップの状態
キャップを開けて目視点検します。
  同上装置のチェックバルブの機能
  バッテリターミナルの緩み、腐食、損傷
バッテリーからは、腐食性の強いガスが出ますので、ターミナル取付けは腐食しやすくなります。取付け部を手で強くひねって取付け状態を確かめる事。
  チャコールキャニスタの詰まり、損傷
  電気配線の接続部の緩み、損傷
目視点検をします。
オイルプレッシャスイッチ部の配線の修理。
  触媒等の排出ガス減少装置の取り付けの緩み、損傷
配管の取り付け状態、特に触媒や配管からのガス漏れがないか点検します。ブローバイガスは、クランクケースからエアクリナーケースへホースで導かれています。チャコールキャニスターは、エンジンルームの隅についている直径15センチくらいの円筒形の部品で蒸発した燃料を吸着します。
  排気ガスの状態
ガソリンエンジンの場合、排気ガスの色が透明に近ければ正常です。
黒い時は空燃費が濃い事が考えられます。
  二次空気供給装置の機能

*

エアクリエレメントの汚れ、詰まり
ほとんどの国産車は乾式エアクリーナーを採用しているので、エアガンで清掃できます
  排気ガス再循環装置の機能
排気ガスの一部をエンジンに吸入させる構造になっています。
  燃料もれ
キャブレター付近のゴムの燃料パイプから燃料が漏れているのを、車庫の床に燃料漏れの後が残っていた事からわかりました。目視点検に加え,エンジンルームがガソリン臭くないか、点検します。
  減速時排気ガス減少装置の機能
減速時にスロットルが急激に閉じないようにすることで空燃費が濃くなりすぎることを防いでいます。EFI車などは、減速時に燃料をカットする構造になっているため、減速時燃料噴射音が止ままります。
  燃料装置のリンク機構の状態   一酸化炭素等発散防止装置の配管の損傷、
取付状態
  スロットルバルブ、チョークバルブの作動
燃料噴射装置により機械的にはシンプルで、点検個所は少なくなっています。キャブレター式の場合はチョークバルブ付近は、汚れて動きにくくなりやすいので、エアクリーナーをはずして市販のキャブクリーナーで清掃が必要な場合もあります。
  上の10項目は、は、おもにガソリンエンジンの排ガス制御装置で、ジーゼルエンジンにはついていないものがほとんどです。各配管の取り付け状態、特に触媒や配管からのガス漏れがないか点検します。ブローバイガスは、クランクケースからエアクリナーケースへホースで導かれています。チャコールキャニスターは、エンジンルームの隅についている直径15センチくらいの円筒形の部品で蒸発した燃料を吸着します。エンジンの運転状態や匂い、目視などで総合的に点検するのが一般的です。 
室内点検                            下の6項目は、普段の運転の中でも点検できます。
  ハンドルの操作具合   パーキングブレーキの引きしろ(踏みしろ)
リヤブレーキばドラム式で、パーキングブレーキをかねている場合、リヤブレーキの隙間を調整すると、パーキングブレーキの引きしろも変わってきます。
  ブレーキペダルの遊び、
踏みしろ(床とのすき間)
  パーキングブレーキのきき具合
  ブレーキのきき具合   クラッチペダルの遊び、
切れしろ(床とのすき間)
足廻り点検

*

ホイールアライメント
ハンドルの流れや、タイヤの偏磨耗がある車は、販売店で点検してもらう事。もしホイールアライメントが狂っていた為にタイヤが偏磨耗したのであれば、通常保証の対象にならないタイヤでもその対象になるかもしれませんので、交渉してみて下さい。
  ショックアブソーバーの損傷、
オイルの漏れ
  ブレーキのマスタシリンダ、ホイールシリンダ、
ディスクキャリパの機能、摩耗、損傷

目視や、ブレーキのきき具合や音、匂いなど五感を使って、点検してください。
  ブレーキのマスタシリンダ、ホイールシリンダ、
ディスクキャリパの液漏れ

ブレーキフルードの液面は、パットやライニングが減ると下がってきますが、これは、液漏れではありません  また車検毎にブレーキフルードの交換をお勧めします

*

ブレーキドラムとライニングとのすき間
ブレーキドラムの裏側の穴から、マイナスドライバーでラッチを回して、軽くドラムとライニンが触る程度に調整します。ツーリーディングタイプは、一度ロックするまで閉めたところから戻しなから調整します。自動調整のものもあります。
  タイヤの溝の深さ、異常な摩耗
乗用車場合残り溝の深さの限度は1.6mmですが、残り溝が少なくなるとタイヤの性能は落ちてきます

*

ブレーキシューの摺動しゅうどう部分、ライニングの摩耗
ライニングは、新品で5mmぐらいのものが多いようです。今までの走行距離とライニングの減り具合から交換時期を予想してください。リーデングトレーディング式の場合リーディング側が早く減りますが,異常ではありません。交換の際には、リーデングシューキットを使うと経済的です。

*

ホイールのボルト、ナットの緩み
脱着したホイールナットは、走行後増し締めしてください
  ブレーキドラムの摩耗、損傷
通常は、余り磨耗しませんがライニングが無くなったまま走行したりすることにより磨耗が進みます
* フロントホイールベアリングのがた

*

ブレーキディスクとパッドとのすき間
自動的に調整される構造になっていますので、引きずりがないか点検してください。
* リヤホイールベアリングのがた
フロントリアとも駆動輪でなけりば調整できるものが多いようです。タイヤの上下手で揺すって点検します

*

ブレーキパッドの摩耗
パットの厚みは新品で10mmくらいのものが多いようです。
  サスペンションの取付部、連結部の緩み、がた、損傷
  ブレーキディスクの摩耗、損傷
パットの磨耗限度を超えた状態で走行すると磨耗して、ディスクの研磨または、交換が必要になり経済的負担が大きくなります
   

下廻り点検

*

ステアリングギヤボックスの取付の緩み   トランスミッション、
トランスファのオイルの漏れ、量
  ロッド、アーム類のボールジョイントの
ダストブーツの亀裂、損傷

ダストブーツの損傷は、古い日産車に多いようです

*

プロペラシャフト、ドライブシャフトの連結部の緩み
連結部を手で揺すってガタがないことを確認します。連結部を増し締めします
* ステアリングのロッド、アーム類の緩み、がた、損傷
今回車検を行なった車は、異常ありませんでしたが、もう一台の軽トラックのステアリングリンクの修理をしました。
  ドライブシャフトのユニバーサルジョイント部のダストブーツの亀裂、損傷
オフロードを走行した車や側溝にタイヤを落とした車は、損傷している可能性が高くなります
* ブレーキのロッド、ケーブル類の緩み、
がた、損傷
  エキゾーストパイプ、
マフラの取付けの緩み、損傷
  ブレーキホース、パイプの漏れ、
損傷、取付状態

特にキャリパ付近のブレーキホースのひび割れがないか点検します。ホース交換の際には、フレアナットレンチが必要です
  熱害防止装置の遮熱板の取付けの緩み、損傷
遮熱板が無いと、何らかの原因で赤くなるほど熱くなる触媒などから火災になりやすくなります
  エンジンオイルの漏れ   マフラの機能

*

デファレンシャルのオイルの漏れ、量
リアホーシングタイプ、(独立懸架でないもの)はブレーキドラム内にオイル漏れする場合もあります
   

外廻り点検

  フレーム、ボデーの緩み、損傷  
その他 必要となった点検整備の内容、及び主な交換部品

灯火装置や、ワイパー、ホーン、フロントガラスや、窓ガラスなどの点検が必要です
                                                  
                                                  
                                                  

 

オイルプレッシャスイッチ部の配線の修理

何らかの原因で油圧が異常に下がるとインジケーターランプのオイル警告灯が点灯しますが、オイルプレッシャースイッチは、油圧を感知するセンサーの役割をしています。
通常は、エンジンスイッチONでエンジンが止まっているとき、ランプが点灯して、警告灯の玉切れや、配線切れの点検が出来ます。
その状態からエンジンを始動したとき速やかにランプが消え、アイドリング状態でも点灯しなければ一応油圧は、かかっているといえます。
配線がきれると、 エンジンを止めてスイッチONの状態でもランプは消えたままになり、今回 巳之助の車もその状態だったのですが、気がつかずに乗り続けていました。
配線がきれた原因は、オイルプレッシャースイッチに取付けられた配線が、プロペラシャフトの近くを通っていた為に、プロペラシャフトに絡みついた異物がその回転で配線を叩き切ってしまったと想像できます。

  赤丸の中にあるのがオイルプレッシャースイッチ 本来ここに配線がつながっている

ブレーキフルードの交換

ブレーキフルードは、ペーパーロック現象を起こしにくいように、沸点200度以上のものが使われていますが、何年も使用することにって、その沸点が下がってきます。少なくとも車検毎の交換をお勧めします。

  軽トラックフロント右キャリパー

ブレーキフルードの交換方法

ホイルシリンダー裏側、またはキャリパーにあるブリーザーを緩めブレーキペダルろ踏むことによってフルードを排出することが出来ます。このときマスタシリンダー上部にあるリザーバータンクのフルードが無くならないように、新しいフルードを継ぎ足します。次にエア抜き作業をしますが、基本的には、マスターシリンダーから遠いキャリパーまたはホイルシリンダーから先に行ないます。
先ず、ブリーザーを閉めた状態で、ブレーキペダルを2,3回、踏んだ後ブレーキペダルを踏みっぱなしにします。踏みっぱなしの間にブリーザーを緩め少しフルードが出たら、ブリーザーを閉めます。その作業を数回繰り返しフルードに気泡が入っていなければ次のホイルシリンダーまたは、キャリパーに進みます。。

ステアリングリンクの修理

軽トラ2号のステアリングリンクのガタの修理をしました。
症状は、60キロくらいで走行するとフロントタイヤ付近から振動が発生してその振動がハンドルに伝わり更に車体全体に伝わると車体が震度3くらいの揺れになるというものでした。
下回りを点検したところ左右タイロッドとステアリングギヤからつながるロッドをつなぐリンクにガタがあり、タイヤ先端で1cm位のガタが出ていていました。
修理するにはリンクアッシィーを交換する方法とブッシュだけを交換する方法があるが今回は本来プレスが必要なブッシュだけを交換する方法にプレスを使用しない荒業で挑戦してみました。
写真中央が問題のリンクです。
ロッド連結部をはずすときは、SSTを使用しますが、ないときは、リンクの横っ面をハンマーでたたいて外します。それでも外れないときは、ナットを裏向きにつけてナットを下からたたきます。
左の穴がブッシュが入っていた穴でまだスリーブが残っています。
上の二つが巳之助が作ったSST(スペシャル、サービス、ツール)
本来はプレスを使用するところだが、
SSTをリンクの上下にかませて上からハンマーでたたくとスリーブが抜ける
抜き取ったスリーブ
新品のブッシュはスリーブに組み込まれて一体になっているのでスリーブごとSSTを使用してブッシュに無理な力がかからないように打ちこむこれもプレスで行なうべきところなので打ちこむときは部品を変形させないよう注意が必要です
今回の不具合の原因はブッシュの磨耗によるものでしたがリンクアッシィーを交換すればリンクを脱着するだけの作業で済みます
部品代はブッシュが1838円、リンクアッシィーが7000円弱でした。

 

【その3】 記録簿の記入について

 

前ページで述べたように、
継続検査の際には、申請書類とともに定期点検整備記録簿が必要です。
「記録簿」と言うと、これまで受けてきた点検整備の履歴全体を指しているように
思われる方もいるかも知れませんが、実際に対象とされるのは、
車検の直前に実施された点検整備の記録です。

さて、その記録簿(記入用紙)ですが、現在では特に書式が定められていません。
ただ、点検項目が定められているだけです。
これは、通常は一回の入庫で点検整備が行われる際、その記録内容は複雑ではなく、
特に様式を定めなくても機能するとの判断により自由化された為だと思われます。

従来の「前整備→後検査」方式に加え、現在では法規上「前検査→後検査」方式でも
車検(=継続検査)を受けることができますから、
記録簿の記入に当たっては次の点に注意すれば良いでしょう。
 
注意点1.自分の車に関係のない点検項目には、チェック「レ」を入れない
例えば「車が四輪ディスクブレーキだから、ブレーキドラムの摩耗は関係がない」と言って、
関係ない事をチェックした証拠として「」を記入してしまうような場合です。
 「該当無し」の「/」 を記入するか、いっそのこと「無記入」のままが良いでしょう。
誤記入は、車検場での検査官の印象を悪くしてしまうことがあります。

       ■注意点2.自分で点検できない項目は、素直に空欄にしておく 
例えばCO濃度など、専用測定器がないと点検できないような項目のことです。
ユーザー車検とは言え、業者に依頼すべき項目は空欄のままにしておきましょう。
すでに依頼して点検済みである場合には、チェックを入れても良いですが、
その場合は記録簿の 「点検依頼者の欄」 を自分の名前に、
「点検実施者(=分解整備事業者)の欄」 を業者の名前にすることになるでしょう。


■ユーザー車検 INDEX■
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